文学部
芸術学コース
美学・美術史 専攻
専門科目 (2単位)
美学美術史演習 XIV
講義題目:宋元画研究 ―湯垕《画鑒》を読む―
教授井手誠之輔
後期・通常

木曜2限
授業の概要 日本における中国絵画研究の特殊性の一つに、しばしば宋元画という枠組みやそれへの偏向が指摘されることがある。宋元画とは、中世以来、中国から舶載され伝来してきた絵画を総称する枠組みであり、南宋院体画や禅宗絵画、着色仏画などに及んでいる。こうした宋元画が産み出された時代の絵画史の状況を、当時の画論書を読みすすめながら考えていくことにする。
湯垕《画鑒》は、元時代の絵画状況をしめす画論としてしられているが、そこには、六朝から唐代、五代、北宋時代を俯瞰しながら、理念的には南宋を批判しつつ北宋回帰をつよめていた当時の思潮がよくあらわれている。漢文による原資料を読みすすめ、また現存する絵画資料を参照しながら、元時代の多様で豊穣な絵画世界への理解を深めていくことにしたい。
学習目標 (1) 全般的な教育目標:
中国絵画史のメーンストリームの流れを文献と絵画の双方から理解する。

(2) 個別の学習目標:
漢文の文献に慣れ親しみ、それを読みこなす力量をつけることをはじめとし、美術史研究の実践に不可欠な文献や作品等の調べ方とその扱い方、研究の現況、議論の進め方について、具体的な事例から学んでほしい。さらに資料の蓄積と共有化の手段として、文字や画像のデータ化についても、必要最低限の知識を具えてほしい。
授業の進め方 《画鑒》を順次、冒頭より読みすすめるとともに、関連する絵画資料を紹介し、専論があれば、その内容についても概要を把握し、絵画史上の問題点を探っていく。
教科書等 <教科書>
校訂本『画品叢書』所収本を参照。

<参考図書>
James Cahill, Index of the Early Chinese Paintings
成績評価方法 出席50% 平素の成績50% 個々人の報告を評価の対象とするほか、参加者間における議論の内容も重視する。また、資料の蓄積と共有化における貢献度も評価する。
学習相談 常時、対応する。演習の発表に必要な資料等で不明の場合は、相談すること。
その他 対象学生:専攻学生に限る
対象学年:2年生 3年生 4年生