文学部
歴史学コース
日本史学 専攻
専門科目 (2単位)
日本史学演習 XX
講義題目:日本近世政治史の諸問題
九州産業大学国際文化学部 教授福田 千鶴
前期・通常

水曜2限
授業の概要 近年の研究動向として、戦国期から近世前期の政治史を分析するうえでは、一次的な資料である書状をいかにうまく活用できるかが重要な要素となっている。とくに書状は無年号文書であることが多いため、発給年次を特定することが必要となるが、その分析にはいくぶん技術的な素養がもとめられる。したがって、本演習では書状分析のための基礎的技術を習得することを目的とし、政治史研究の最前線の研究動向や手法を学んでいく。具体的には、候文に特徴的なくずし字の解読方法、人物や地名の特定、書状発給者や受給者の居所の特定などに基づいて、最終的な年次比定を導き出していく方法など、書状の個別条件に基づきながら歴史情報を最大限に読み取ることを体験していく。対象とするのは、福岡藩初代藩主となる黒田長政の書状群で、これらは『福岡県史』近世史料編福岡藩初期(上)(下)に多く収録されているが、ほとんどが年号を特定されないまま放置されている。その状況を本演習で解決してくとともに、同史料集に漏れた新出史料などの解読もあわせて進めていく。
学習目標 (1) 全般的な教育目標:
戦国から近世にかけての書状の読解方法を習得する。くずし字の読解、候文の読み方、年次比定の手法などを身につける。これを通じて、政治史の動向、社会背景などについての理解を深めていく。

(2) 個別の学習目標:
黒田長政の書状分析を通じて、福岡藩成立期の諸問題について多角的に検討していく。この学習を通して、書状分析の基本的技術を身につけ、書状分析のおもしろさを体感してほしい。
授業の進め方 最初の授業で、資料プリントを配布する。個人の分担を決め、各自が分担箇所のレジメ(読解、地名・人名の特定、用語の確定、年次比定)を作成し、個別報告する。その内容に基づき、全体で議論し、内容の理解を深める。一度の報告では書状の年次比定にいたることは難しいかもしれないので、各自は引き続き他の報告者の個別報告を聞きながら担当史料の理解をより深めていき、最終的に期末に年次を確定・推定したレポートを提出する。
教科書等 <参考図書>
『くずし字用例辞典』東京堂出版
『福岡県史』通史編福岡藩一
成績評価方法 演習なので平常点を重視する。出席80パーセント。期末にレポート提出を課し、総合的に成績を判定する。
学習相談 疑問点は授業終了後に受け付ける。
その他