文学部 人間科学コース 地理学 専攻 専門科目 (2単位) |
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前期・集中 |
授業の概要 | 本講義は4部14章からなる。第1部「政治地理学がたどってきた道」は、近代における政治地理学の展開、つまり戦前の地政学から現代の政治地理学までの流れを、英米と日本においてあとづけ、「新しい地政学」および「場所の政治」研究の視角を示す。第2部「空間・場所・領域」は、空間や場所と権力との関係を明らかにしつつ、その関係を反映する領域の性質を理論的に解説した上で、グローバル化とナショナリズムについて政治地理学的に考える。第3部「コンテクスト/スケール/言説の政治」は、「コンテクスト」、「スケール」、そして「言説」という政治地理学にとって鍵となる概念について説明し、それらを実証研究のなかでどのように活用しうるかを検討する。第4部は「事例研究にむけて」は、第3部までの理論的・概念的な議論が、具体的な事例研究としてどのように展開できるかを解説している。つまり本講義では、政治地理学の学史・理論・概念・実証というテーマが断続せず、前後のテーマと重なりあいながら展開する構成になっている。受講生がこれら4部からなる本講義を受講することによって、政治地理学の理論的視角のみならず、日常的に見られる政治的な出来事に対する感性と理解が深まることを期待したい。 |
学習目標 | (1) 全般的な教育目標: 本講義は、現代社会を地理学的に理解する一つの手段として、政治という側面について考える。政治地理学の入門編として、政治地理学の理論と分析方法について講述したあと、事例研究を紹介し、政治を地理学的研究する有効性について解説する。本講義によって、政治的事象が空間や場所といかに密接に結びついているかを理解できるようになりたい。 (2) 個別の学習目標: 1. 近代政治地理学の展開を批判的に振り返りながら、国際社会の変動を理解する視座として政治地理学の有効性を理解する。 2. マルチ・スケールの観点から、空間・場所・領域に関する政治地理学的理論を理解する。 3. コンテクスト・スケール・言説という概念を用い、グローバル/ローカルな政治事象の分析方法を把握する。 4. 以上の理論的・概念的理解をもとに、政治地理学的な事例研究へのアプローチを習得する。 |
授業の進め方 | 講義は下記の教科書にもとづき、パワーポイントを用いて進める。予習として、受講者は以下に示したテキストの各日の指定個所を授業前に読み、疑問点および感想をA4判2頁以内のワードファイルに章ごとにまとめ、各授業日に山崎まで提出すること。 第1日 テキスト第1部(第1章から3章) 第2日 テキスト第2部(第4章から7章) 第3日 テキスト第3部(第8章から10章) 第4日 テキスト第4部(第11章から14章) |
教科書等 | <教科書> 山ア孝史『政治・空間・場所―「政治の地理学」にむけて』ナカニシヤ出版、2010年を生協等で受講前に購入しておくこと。 <参考図書> 教科書の参考文献リストを参照されたい。 |
成績評価方法 | 各授業日の予習コメント(40%)と講義後レポート(60%)によって評価する。 |
学習相談 | 教員への相談は電子メール<yamataka@lit.osaka-cu.ac.jp>か、講義後直接相談に来られたい。 |
その他 | 2011年9月初旬開講予定。 対象学年:2年生 3年生 4年生 |