文学部 文学コース 国語学・国文学 専攻 専門科目 (2単位) |
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後期・通常 木曜4限 |
授業の概要 | 平安の王朝文学は音読で享受されたという説がある。そうだとしたら、たとえば紫式部はどんな発音で源氏物語を朗読したのだろうか。もちろん、録音もない千年も昔の日本語の発音が簡単にわかるはずはない。しかし、現代の諸方言の音声や、各時代各種の文献資料から適切にデータを収集し、一定の方法論に従ってそれらを照らし合わせていくと、ある程度の輪郭は見えてくるのである。 この講義では、過去の研究に学びつつ、その方法論を批判的に検証し、諸方言の実態からどこまで歴史が描けるか、また文献の記述から史的変遷がどこまで帰納できるかを、注意深く考えていきたいと思う。 1.音声学・音韻論の基礎 2.日本語諸方言の音韻分布 3.言語史の方法 4.日本語音韻史の方法 4-1.音声変化の蓋然性と音韻体系 4-2.スムとニゴルの音声学 4-3.古代的濁音の弁別的特徴 4-4.音用論と音声学的蓋然性 4-5.表記史と音韻史 4-6.アクセント史の方法 5.結論 |
学習目標 | (1) 全般的な教育目標: 全般的な教育目標:教科書的知見ではなく、その知見を得るための方法論を学んでほしい。 (2) 個別の学習目標: 1〜3では理解の前提となる音声学・音韻論、および言語史に関する基礎知識の修得を目指す。4では方法論を中心にした日本語音韻史研究の現状と課題を考える。 |
授業の進め方 | 配布資料及びプロジェクタ画面に沿って講義を行う。また、方言音声や平安時代中央語の復元音声等をできるだけ多く聴かせたいと思う。 |
教科書等 | <教科書> プリントを配布する。 <参考図書> 斉藤純男著『日本語音声学入門』三省堂(2,000円+税)、上野善道編『朝倉日本語講座3音声・音韻』朝倉書店(4,600円+税)、『講座国語史 2 音韻史・文字史』大修館書店(3,800円+税)、沖森卓也編『日本語史』おうふう(1,900円+税)、山口明穂他編『日本語の歴史』東京大学出版会(2,400円+税)、等。 |
成績評価方法 | 出席40%、筆記試験60%。試験は持込一切不可(短期留学生は辞書のみ可)。 |
学習相談 | オフィスアワーを火曜3限に設定するが、可能なかぎり随時相談には応じる。また、メールでの問い合わせも可(アドレスは配布資料参照)。 |
その他 | 対象学年:2年生 3年生 4年生 履修条件:特になし 教職(国語) |