文学部 文学コース 国語学・国文学 専攻 専門科目 (2単位) |
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後期・通常 木曜3限 |
授業の概要 | 漢字という外国の文字を自家薬籠中のものとするために、上代人はさまざまに模索して種々の万葉仮名表記と変体漢文を作りだし、のちの「漢字仮名まじり」という表記システム確立の基礎を固めた。ここでは、万葉集の表記について漢語音韻学・日本語表記史の観点から分析を加え、奈良時代日本語の諸問題を考察する。 元暦校本万葉集巻七をテキストとし、短歌形式の歌を一〜二首各自で自由に選択のうえ、以下の諸点に注意しつつ訓読試案を提出するとともに、また自ら設定したテーマについての調査・考察の結果を発表する。 ・底本の付訓を批判的に検証すること(どうしてそのような訓が付されているのか、どうしてそのように訓めるのか、等々) ・先行研究を踏まえたうえで、最も合理的な解釈を模索すること。 毎回1名の担当者が発表を行うこととし、時間配分については、発表60分、質疑応答30分を目安とする。考察対象の歌は一首でも二首でもよいが、時間内で説明が終わるようにすること。 |
学習目標 | (1) 全般的な教育目標: 判断材料の収集、批判的取捨選択、論理の構築、適切な自己表明、等々に対する技術を会得する。 (2) 個別の学習目標: 日本語表記システム確立過程を肌で感じる。文献学・漢語音韻学等の基礎を学び、先行研究の方法論を批判的に検証する。 |
授業の進め方 | 演習形式。毎回1名の担当者が一〜二首を取り上げ、調査・考察の結果を発表する。それをもとに参加者全員での討論を行う。 |
教科書等 | <教科書> 鶴久・森山隆『万葉集』おうふう、佐竹昭広他『萬葉集』塙書房、中西進『校訂萬葉集』角川書店、等、万葉集全巻原文所載のテキストを用意すること。 <参考図書> 大島正二『漢字と中国人』岩波書店(780円+税)、佐藤 昭『中国語語音史』白帝社(2,200円+税)、他。あとは授業で紹介する。 |
成績評価方法 | 演習の発表内容40%、学期末に課すレポート40%、授業への参加度(出席状況と質疑に対する積極性)20%の割合で評価する。レポートのテーマは授業中に指示する。 |
学習相談 | オフィスアワーを木曜4限に設定するが、可能なかぎり随時相談には応じる。また、メールでの問い合わせも可。 |
その他 | 担当者の周到な準備と参加者全員の積極的な討論を期待する。 対象学生:専攻学生に限る 対象学年:3年生 4年生 履修条件:演習発表可能な人数の関係で、国語学・国文学専攻生に限る。 教職(国語) |