文学部
文学コース
国語学・国文学 専攻
専門科目 (2単位)
国文学講義 III
講義題目:江戸文学と老荘思想
准教授川平 敏文
前期・通常

火曜2限
授業の概要 老荘思想は我が国に早くから伝来していたが、それが本格的に考究・摂取されはじめるのは江戸時代以降と考えて良い。思想史的にもユニークな位置にあるが、特に文学史への影響はきわめて大きかったと言えるであろう。この問題について、思想・俳諧・小説などのジャンルから具体的な文献・作品を取り上げながら論じていく。

1 ガイダンス 江戸文学研究の基本姿勢
2 江戸以前における老荘思想の影響(1) 源氏寓言説
3 江戸以前における老荘思想の影響(2) 五山禅林における受容
4 俳諧寓言説と老荘(1) 林註の流行と貞門俳諧
5 俳諧寓言説と老荘(2) 西山宗因・岡西惟中の論
6 俳諧寓言説と老荘(3) 談林俳諧の展開と蕉風俳諧
7 江戸小説と老荘(1) 山岡元隣の仮名草子(含俳文)
8 江戸小説と老荘(2) 佚斎樗山の談義本
9 江戸小説と老荘(3) 老荘モノ談義本の流行
10 思想史における老荘(1) 朱子学の場合(林家、金蘭斎など)
11 思想史における老荘(2) 陽明学の場合(中江藤樹、熊沢蕃山、佚斎樗山など)
12 思想史における老荘(3) 徂徠学の場合(荻生徂徠、太宰春台、渡辺蒙庵など)
13 思想史における老荘(4) 国学の場合(賀茂真淵、本居宣長、平田篤胤)
14 善書と老荘(1) 「太上感応篇」について
15 善書と老荘(2) 「太上感応篇」の注釈史
学習目標 (1) 全般的な教育目標:
2年後期における概論的な江戸文学論を踏まえた上で、より専門的な問題について考えさせる。

(2) 個別の学習目標:
江戸思想史の基礎的知識を身につける。
江戸時代の文学理論について理解を深める。
江戸時代の文芸作品について幅広い知見を得る。
授業の進め方 講義冒頭に、前回講義終了時に記入してもらったコメントについて答える。
基本的に講義形式。まま小テストを行うこともある。
教科書等 プリントを配布する。
参考文献についても、授業中に随時指示。
<教科書>
特になし。

<参考図書>
大野出『日本の近世と老荘思想』(ぺりかん社)
中野三敏『戯作研究』(中央公論社)
日野龍夫『宣長と秋成』(筑摩書房)
成績評価方法 出席20%(毎回、授業終了時にコメント用紙を提出)
レポート80%(テーマ「江戸の思想と文学」。授業に関連したものであること)
学習相談 随時受け付ける。
その他 対象学年:3先生以上
教職(国語)