文学部
文学コース
国語学・国文学 専攻
専門科目 (2単位)
国文学演習 VI
講義題目:日本近代文学研究
比較社会文化研究院教授松本 常彦
後期・通常

水曜5限
授業の概要 演習担当者による発表と討議が中心になる。近代の文学は古典に比較すれば、表現の上でも、描かれた社会的意識や主題や風俗等の上でも、現代との距離の近さゆえに、ある意味で読めば分かるという性格を持つものが多い。その「読めば分かる」近代の小説や詩歌を研究の対象として捉え直す契機は奈辺にあるのか。読んで面白さやつまらなさが実感される対象を、あえて研究という名目の下で語りなおす意義はあるのか。どのような対象を選択するにせよ、その契機や意義を用意する枠組みとは何かを考えることが演習の目的となる。以下に担当者が行うべき基本的な作業を記す。@明治元年<1868年>以降の雑誌、新聞、単行本などで活字化された小説・詩歌のうち、基本的には、それについて複数の先行論文がある作品を一つ選ぶ。Aその作家の伝記情報を記した書誌一覧を作成する。Bその作品に関する先行論文の一覧を作成する。C先行論文の論点を整理して、上記の枠組について考える。D自分が取り上げた対象について、どのような枠組みの中でどのような論点が可能になるのか、また、どのような分析の仕方があり得るかを考え、なるべく具体的な引用や資料や用例を用いて説明する。E討議を経て、レポートを作成する。
学習目標 (1) 全般的な教育目標:
自分が直面する対象(研究対象)について、それを対象として把握するために、どのような枠組み(コンテクスト)が可能なのかを考え、その枠組み(コンテクスト)との関わりの中で対象の意義・意味を計測し表現する<感覚>を養うこと。

(2) 個別の学習目標:
近代文学を研究対象とした場合に必要な情報の種類とその収集手段を知ること。先行研究の方法について(場合によっては方法が意識されてないということを含めて)意識化すること。先行論文等における読みの方法や枠組みを意識した上で、自分が選択した対象にふさわしい読みの方法や枠組みを用いた発表の実践。
授業の進め方 演習担当者による発表の後、出席者全員による質疑と応答。
教科書等 <教科書>
最初の演習発表以前に作成・配布する(授業中に指示する)。

<参考図書>
各担当者が参考文献一覧を作成する。
成績評価方法 発表・レポート
学習相談 可能な範囲で随時相談に応じる。
その他 演習出席者も前もって当該作品を読んでから臨むこと。

対象学生:専攻生
対象学年:2年生以上
履修条件:特になし