文学部 文学コース 中国文学 専攻 専門科目 (2単位) |
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後期・通常 火曜4限 |
授業の概要 | 『新列国志』は、明末の文人馮夢龍が、余邵魚の『列国志伝』に基づき、春秋戦国諸国の興亡史を百八回に渉って描いた歴史小説である。その後清・蔡元放によって『東周列国志』と改名刪改されて今日に到る。今学期の演習では、『東周列国志』の第七十八を精読する。授業では、余邵魚『列国志伝』・馮夢龍『新列国志』の該当部分の表現を比較検討しつつ、内容の解読を進める。また、蔡元放の原版注本も併せて参照する。 明清代に流行する大河小説を演習で読むことには、種々の読解上の困難が伴うが、従来の演習で通例であった表現の出典や文字の異同等に煩わされることなく、全体の通読、部分の精読を心がけるようにし、毎回の演習で大河の一滴のエスプリを存分に味わうことを目指したい。 |
学習目標 | (1) 全般的な教育目標: 中国明清代の歴史小説を味読することによって、中国近世の通俗小説の実態に触れ、中国語の表現を豊かにし、また、盗作概念を含む中国人の物の考え方について学習する。 (2) 個別の学習目標: @中国近世の通俗小説の多くが、実は先行する戯曲小説を襲用することから成っていることを学習する。 A戯曲小説に限らず、詩文における典故表現も基本的に同様であり、近世の文学作品の読解には、実はそれ以前に蓄積されてきた文学史の知識が必要であることを認識する。 B明清に流行する通俗小説の作者や読者は、実は中国文化を支えてきた広大な裾野の構造を成していることを理解する。 |
授業の進め方 | 『東周列国志』の該当部分について、毎回7〜8行を味読する。 演習担当予定一覧表を演習開始前に掲示する。 担当者は事前に担当部分の内容、中国語による朗読、翻訳、重要故事の解釈、関連事項等について準備しておき、演習発表すること。 演習の後半は質疑討論の時間としたい。 |
教科書等 | <教科書> 『東周列国志』(作家出版社、1955年)を一応の底本とする。蔡元放注の二色套印本も併せ参照する。また、『列国志伝』『新列国志』も底本の明記があればどの版本を使用しても良い。 演習発表の必要上、担当部分をコピーして参加者に配布するのが望ましい。 <参考図書> 中国の各種版本、解説書のほかに、抄訳や全訳の『列国志伝』『新列国志』『東周列国志』や関連する歴史小説があれば随時参照すること。 |
成績評価方法 | 毎回担当者の発表状況、演習での質疑討論等のあり方によって成績を評価する。 |
学習相談 | 学習相談に応じるオフィスアワーを火・金曜13〜14時に設定している。この他の時間でも、可能な限り学習相談に応じる。また、e-mail(takemura@lit.kyushu-u.ac.jp)でも随時相談を受け付ける。 |
その他 | 対象学年:2年生・3年生・4年生 教職(中国語) |