文学部 文学コース 独文学 専攻 専門科目 (2単位) |
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後期・集中 |
授業の概要 | 舞台祝祭劇《ニーベルングの指環》4部作は19世紀ドイツの作曲家・詩人リヒャルト・ワーグナーが着想から完成までに26年間を費やした文字通りのライフワークであり、北欧・ゲルマンの神話を題材に、科学文明や資本主義による人間性の疎外という近代社会の様相を寓意的に描いたそのドラマは今日にも通じる問題性を孕んでいる。今回の集中講義では第2部《ヴァルキューレ》中心に取り上げ、台本を丹念に読み解きながら、ワーグナー自身が執筆した芸術と社会に関する論文や書簡にも触れつつ、作品の原典である神話・伝説とも比較を行ない、作者の思想が作品にどう表れているかを考察する。また、《ヴァルキューレ》の音楽技法を解説しながら、言語では語り得ぬもの(深層心理等)を表現する音楽の機能について紹介する。さらには数種類の演出をDVD映像で比較鑑賞することによって、現代社会の問題がどのように舞台に投影されているかを考えながら、作品という素材(テクスト)と上演(パフォーマンス)の関係に光を当て、演出という行為の可能性を探る。 |
学習目標 | (1) 全般的な教育目標: ワーグナーの作品と思想に触れることで、19世紀ヨーロッパの社会や文化とその問題性について理解を深める。詩(台本)と音楽が時に相乗し、時に亀裂を生じるオペラならではの表現効果を体感する。 (2) 個別の学習目標: ワーグナーの台本の擬古文的な文体や論文の複雑な構文に触れることで、ドイツ語の読解力を涵養する。作品の素材となったゲルマン・北欧の神話・伝説や中世叙事詩についての知識を得る。 |
授業の進め方 | 講義形式が基本だが、出席者にドイツ語についての質問をしたり、意見・感想を求めることもある。プリント資料を配布し、パワーポイントやCD・DVDも適宜使用する。 |
教科書等 | <教科書> なし。プリントを授業前に配布。 <参考図書> 三光長治・高辻知義・三宅幸夫・山崎太郎編訳、ワーグナー『ヴァルキューレ』(1992、白水社) |
成績評価方法 | 出席30%、レポート70% |
学習相談 | 授業中、授業終了後の質問や相談を随時受け付ける。 |
その他 | 10月24日(月)〜28日(金)開講予定 履修条件:ドイツ語の基礎を習得していることが望ましい |