文学部 文学コース 仏文学 専攻 専門科目 (2単位) |
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後期・通常 金曜5限 |
授業の概要 | 前学期に引き続き、19世紀フランス文学についての講義を行う。前学期ではルソーからコンスタンにいたる前ロマン主義の思潮を概観した。後学期では、ロマン主義時代の作家ながら、次世代に先駆して新しい小説のあり方を提示したスタンダールとバルザックをまず取りあげる。それぞれの傑作『赤と黒』と『ゴリオ爺さん』の読解を通じて、両者の相違に目配せしながら、それぞれの技法的な特徴を探る。 つぎに考察するのは、フローベールである。19世紀半ば、ロマン派文学への批判から「レアリスムRéalisme」を標榜する流派が台頭してくる。シャンフルーリーに主導された写実主義の作家たちがものした作品はしかし、その名称ほどには長生きしなかった。彼らとは方法論的に一線を画していたフローベールが長編『ボヴァリー夫人』を世に問うと、賛否両論を巻き起こしながらもレアリスムの首領格と目されることになる。授業では同小説の読解を通じて、その方法を考察する。 最後に、写実主義に続く自然主義文学を取りあげる。ゾラの提唱した科学的方法論の文学への適用とはいかなるものか、フローベールとゾラの薫陶をうけたモーパッサンの小説世界の特徴とはどのようなものなのか、といった問題設定のもとに、『居酒屋』と『脂肪のかたまり』の解釈を試みる。 以上の作品の読解を通じて、現実と虚構作品との関係を規定すべくもちいられる「リアリズム」という用語を再考することも、本講義の目的である。 |
学習目標 | (1) 全般的な教育目標: 個別の作家・作品の考察をつうじて、19世紀フランスにおける文学思潮の全体像を把握する。 (2) 個別の学習目標: スタンダール、バルザック等の作品の抜粋を読みながら、それぞれの問題やテーマ、技法を探る。 |
授業の進め方 | 各時限ごとにトピックを設定して解説する。 |
教科書等 | スタンダール『赤と黒』 バルザック『ゴリオ爺さん』 フローベール『ボヴァリー夫人』 ゾラ『居酒屋』 モーパッサン『脂肪のかたまり』 <教科書> 補助教材として適宜プリントを配布する。 <参考図書> 適宜、紹介する。 |
成績評価方法 | 出席状況(5回以上の欠席は不可)及びレポート等により総合的に評価する。 |
学習相談 | 開講時に指示する。 |
その他 | 特になし。 対象学年:全学年 履修条件:通年での受講が望ましい。 教職(フランス語) |