文学部 人間科学コース 社会学・地域福祉社会学 専攻 専門科目 (2単位) |
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前期・通常 金曜2限 |
授業の概要 | 社会調査とは,社会事象を対象に,一次資料として現地調査でデータを直接収集し,その上でデータを処理,分析,記述する,これら全過程をさす.つまり,社会調査とは,データを直接収集する「実査過程」と,収集したデータについての「データ処理・分析過程」とから構成されている.このうち,本講義では,統計的調査の「データ処理・分析」に関する基礎的知識について,一部,実習も含めて講義を行うものである. データ収集に関しては,収集の方針,すなわち仮説構成が重要である.この重要性について言及し理解を深めてもらうとともに,必ずしも独自に社会調査を実施せずとも,既存の統計資料・統計調査の二次分析で初期の目的が達せられ,十分成果があがることもありうることを,デュルケムの「自殺論」等の検討によって検証する.また,社会調査の中でも,最も代表的な標本調査を念頭に,検定の必要性を理解させるとともに,統計的調査のデータ処理に関する基本的知識(データ収集,変数間関係に関する基礎的知識)の獲得を目指し,実際に自分で簡単なデータ処理が行えるよう実習の時間も設定する. 以上の内容から,最終的に本講義の受講を終えた段階では,調査報告やフィールドワーク論文について,それらを十分に理解しながら読むことができるようになり,かつ,官庁統計をはじめとする調査統計資料についての加工技術も獲得でき,また,一次資料収集のために実施した統計的調査のデータについて基礎的分析を行うことも可能となる. 授業計画は,以下の通り. 1.データ分析の目的と資料 (問題意識,作業仮説,一次資料,二次資料) 2.データ分析法の種類 3.データ分析と仮説 (『自殺論』) 4.二次資料の分析(1) (『国勢調査』(人口,年齢,世帯構成,職業構成など)) 5.二次資料の分析(2) (その他の官庁統計,既存統計データ) 6.標本調査の特質と検定の必要性 7.データ集計の基礎(1) (度数,相対度数,代表値) 8.データ集計の基礎(2) (分散,偏差) 9.データ集計の基礎(3) (集計表(単純集計,クロス集計,3重クロス集計)) 10.変数間の関係(1) (散布図,相関係数) 11.変数間の関係(2) (因果関係,擬似相関,偏相関係数) 12.クロス表の分析 (有意差,カイ2乗検定を含む) 13.一次資料の分析(1) (データを用いての,単純集計表の作成) 14.一次資料の分析(2) (データを用いての,クロス集計表の作成と有意差検定) 15.一次資料の分析(3) (データを用いての,相関係数,偏相関係数,3重クロス集計表の作成) |
学習目標 | (1) 全般的な教育目標: 官庁統計をはじめとする既存統計資料に関する知識とその活用方法,活用に際しての加工技術の獲得,および,一次資料のデータ分析ができるための基本的知識の獲得,実際の基礎的集計技術の獲得を目標とする. (2) 個別の学習目標: 1〜2では,データ分析を行う目的に適した資料,分析法の種類についての知識の獲得を目指す.3では,データ分析を行う際の仮説の重要性について,デュルケムの分析から学ぶ.4〜5では,官庁統計資料の種類,その活用方法について学ぶ.6では,標本調査の特質と検定の必要性について学ぶ.7〜9では,データ集計に関する基礎的知識の獲得,10〜12では,変数間の関係についての基礎的知識の獲得を目指す.13〜15では,一次資料の分析における,基礎的集計・分析の実際について,SPSS等を活用しつつ,実習を行う. |
授業の進め方 | 教科書,配付資料を用いての講義,および,SPSS等を用いた集計作業の実習を行う. ほぼ毎回,課題を課す. |
教科書等 | <教科書> 森岡清志編著『ガイドブック 社会調査(第2版)』(日本評論社) <参考図書> 講義中に,適宜,指示する. |
成績評価方法 | 毎回,出席をとる.また,講義期間中に小レポートを10回課す(10回×5点=50点).期末には筆記試験(25点×1回=25点)とレポート(25点×1回=25点)を課す. |
学習相談 | |
その他 | SPSS等の統計パッケージを用いてデータ分析の実習を行い,これを用いてのレポートも課すことから,SPSS(統計ソフト)を利用できる環境が必要とされる. 社会調査士資格取得認定科目.他学部生可. 対象学年:3年生 4年生 教職(社会)(公民) 社会調査士 |