文学部 人間科学コース 社会学・地域福祉社会学 専攻 専門科目 (2単位) |
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後期・通常 月曜3限 |
授業の概要 | 社会調査の一連の過程を、調査の準備段階から始めて調査報告書の作成まですべて学習する授業である。主に調査票にもとづく量的調査を行う。前期の社会学演習XIでは、アンケート調査票の作成と調査実施の作業に焦点を当てる。後期の社会学演習XIIでは調査実施後のデータ入力、集計、分析の作業に焦点を当てる。質問票の配布による調査の実施、データ収集は、前期の終盤に当大学の全学共通教育科目の授業中に、集合調査の形で実施する。九州大学の箱崎文系キャンパスには、約1,500人程度の学部1年生学生が存在する。このうち、文学部の一年生全数を調査対象母集団として全数調査を行う。また法学部、教育学部、経済学部などの学部一年生にも、適切な標本を何らかの無作為性を用いて抽出し、対照群として設定する。必要におうじて、二年生、三年生、四年生や大学院生にも、適切な標本を何らかの無作為性を用いて抽出し、対照群として設定する。分析手法としては、回帰分析、因子分析、分散分析を用いる。将来的に時系列分析を行うことも考慮し、継続的な調査を念頭におき、授業を行う。 テーマは、現代大学生の環境・国際化・福祉・家族意識の構造である。NHK放送文化研究所が長年にわたって調査してきた「現代日本人の意識」調査の基本的な調査項目を一階部分として採用する。そして独自の二階部分として、現代の大学生が関心をもっている様々なテーマ(環境、国際化、福祉、家族など)のオリジナルな調査項目を設定する。この一階部分と二階部分とをあわせた調査票を設計し、現代の大学生がどのように、日本人一般と共通性と相違点をもっているのかを調べる。また、多変量解析をもちいて、意識の構造的な側面の解明にあたれるように調査設計する。具体的には、属性や学部、出身地や年齢、家族構成などによって、環境や福祉、国際化や家族についての意識や行動、がどのように変わるのかを、適切な規範意識を従属変数として設定し、個人属性などを独立変数として、独立変数が従属変数におよぼす影響を分析する。 履修人数は例年20人弱なので、全体を4つのグループに分け、各グループが上記4つの場のいずれか1つを担当し、グループごとに作業し発表を行う。ただし、実際の調査においてはグループ同士の連携が当然必要になるので、各グループ内でリーダー、サブリーダー、プレテスト担当者などの役割分担を決め、各グループの役割分担者同士の連携によりグループ相互の連携を図る。このように履修者全体を、分析上の観点からと、作業に関する役割の観点からの2つの軸によるマトリックス組織として編成し、授業を運営する。 |
学習目標 | 社会調査士資格を取得するための社会調査実習である (1) 全般的な教育目標: 調査のテーマとしては、大学生の環境・国際化・福祉・家族意識の構造である。 (2) 個別の学習目標: 大学一年生の環境・国際化・福祉・家族意識を、二年生、三年生、四年生や大学院生と対比して、年齢や経験、性別や出身地などによって「環境・国際化・福祉・家族意識」に有意な違いがあるかどうかを調べる。また、NHKの実施している過去30年間の「現代日本人の意識」調査と比較することを通じて、現代の大学生と、日本人一般の共通点や相違点などを考察する。さらに、発見された問題については、大学生へのインタビュー調査など質的調査も併用して、さらに考察を深める。 |
授業の進め方 | 全体で15回を想定している。主な構成は以下の通りである。 1回目:グループごとに、アンケート調査データのチェックとクリーニング作業 2回目〜3回目:グループ作業。アンケート調査データのエクセルへの入力作業とコーディング、変数名作成作業 4回目〜6回目:グループ作業。エクセルデータのSPSSへの変換作業、単純集計、基礎統計量などの出力と確認作業 7回目〜8回目:グループ作業。グループごとに、クロス集計の実施、因子分析、回帰分析などの多変量解析の実施 9回目〜11回目:グループごとに、仮説の検証や多変量解析の結果などに関する発表。 12回目〜13回目:グループ作業。分析結果の発表とグラフ化、報告書作成の分担、執筆者の決定など、報告書作成作業 14回目:グループごとの分析結果の発表と検討 15回目:報告書の概要の発表と、全体のまとめ。 教科書等 教科書、参考書などは、演習の進度に応じて適宜紹介する。 |
教科書等 | <教科書> 岩井紀子・保田時男『調査データ分析の基礎演習』有斐閣 |
成績評価方法 | 出席、演習への参加度、および、調査報告書執筆などにもとづいて、総合的に判断する |
学習相談 | メールなども含めて、適宜相談に応じる |
その他 | 社会調査士科目(認定科目記号G)であり、社会調査士の要件としては、前期の社会学演習XI、後期の社会学演習XIIの両方を同一年度内に履修することが必要である。 対象学生:社会調査士資格を取ろうとする学生に限る 対象学年:社会調査士資格を取ろうとする3年生に限る 教職(社会)(公民) 社会調査士 |