文学部


文学部コア科目 (1単位)
古典語(漢文) I
講義題目:中庸章句を読む
久留米工業高等専門学校 准教授小宮 厚
前期・通常

火曜2限
授業の概要 『中庸章句』(朱熹註)を読む。
 「礼記」の一篇として伝えられてきた「中庸」は古くから学者に注目されて来た。儒家の経典でありながら、仏家にも「中庸」の解釈を著すものがあることなどから「中庸」の説く内容が一学派に局限されない普遍性を持つことが窺われる。そのために古くから表章されてきたのでもあるし、儒教の革新が起こってくる宋代になると「中庸」はいよいよ重要な経典の一として儒家に尊重されるようになる。そうしてここに、先儒の「中庸」に関する諸見解を「集大成して、ついに『中庸』を宋代の新儒学、いわゆる性理の学の中枢に定着させたのが朱熹である。」(赤塚忠「中庸解説」『大学 中庸』明治書院・新釈漢文大系)。
 朱子(朱熹)によって成った『中庸章句』は朱子「自ら再思参考するとともに益友の意見を徴して、しばしば改修し、二十数年の攻苦を経て、淳熙十六年(1189)に到って初めて序を冠して完成稿本とした。それが今に伝わっている『中庸章句』である。黄震は『晦庵(朱子の号)は命世特出の才をもって万世道統の託に任ず。平生の用力は尽く四書に在り。四書の帰宿は中庸に萃まる』(『黄氏日抄』巻之二十五)という。」(同)といはれるものである。
 また「漢の鄭玄以来の諸学者の説、とりわけ宋代の先儒の諸説を総合し、一言一句もおろそかにせず、緻密で洗練した注釈を施した」(同)といはれる書である。
  
 多少の煩雑さを感じるかもしれないが、上記の書に見られる漢文の格調高い理路を読んでいきたい。

 
学習目標 (1) 全般的な教育目標:
 漢文訓読法を習得し、中国思想史に関する知識を深めることを目標にする。

(2) 個別の学習目標:
 「中庸章句」を読むことで、漢文訓読の基礎を身に付ける。
授業の進め方  講義形式だが、受講者に訓読・訳などを発表してもら。
教科書等 <教科書>
 補註学庸章句( 簡野 道明 補註 明治書院 )

<参考図書>
 大学・中庸(島田 虔次  朝日新聞社 中国古典選)
 大学・中庸(金谷 治 岩波書店 岩波文庫)
 大学・中庸(赤塚 忠 明治書院 新釈漢文大系2)
成績評価方法  出席30%、試験70%
学習相談  授業後の質問だけでなく、メールでの学習相談をうけつける。
その他 教職(国語)