東アジアにおける農耕の拡散・受容と牧畜社会生成過程の総合的研究
(令和元年~5年度 科学研究費補助金 基盤研究(S))


Home  概要  研究組織  研究内容  お知らせ  研究成果  お問い合わせ  リンク


概要

 東アジアの先史時代は、農耕社会(中国大陸)、二次的農耕社会(東北アジア、西南中国)、牧畜社会(北アジア)という4つの地域から成り立っています。この内、東北アジアにおける二次的農耕社会の文化拡散と変容は、東アジアの農耕の拡散と人の移動や言語拡散を考える意味でも重要です。さらに、牧畜社会はもともと農耕が拡散したところに寒冷・乾燥化することによって成立したことが、ユーラシア草原地帯西部では明らかとなっています。ところが、東アジアにおいては、長城地帯・モンゴル高原への農耕拡散に関する研究はあまり進んでいません。また、紀元前3000年頃の寒冷・乾燥化によって、農耕社会が牧畜化していく過程についても考古学的に解明する必要があります。東アジアにおける牧畜社会は、ユーラシア草原地帯西部と同じように内的に農耕社会から生まれたのでしょうか?あるいは、草原地帯西部からの牧畜民の移動によって生み出されたでのしょうか?私たちは、こうした問題を発掘調査など一般的な考古学理論・方法のみならず、植物考古学、炭化米分析、石器の使用痕分析、形質人類学やストロンチウム同位体比分析、筋付着部発達度分析から実証的かつ総合的に明らかにしていきます。東北アジアの二次的農耕化と北アジアの牧畜化の過程を対比的に明らかにすることによって、東アジアの地域的な基層部分さらには人類史上の東アジアの特殊性を明らかにすることに繋がるのです。またこれは、東アジアのそれぞれの地域に固有の古代国家が成立していく背景を知ることにもなると考えます。


研究目標

・ モンゴル高原 に おける土器 圧痕レプリカ分析、華北型農耕石器の使用痕分析、残留デンプン分析
  ⇒ 紀元前3400年以前におけるモン ゴル高原南部へのアワ・キビ農耕の拡散過程の解明

・山東省楊家圏遺跡での水田発掘調査、炭化米粒度分析、炭化米DNA分析、土器圧痕レプリカ分析
  ⇒ 紀元前2400年頃~紀元前8世紀にいたる、山東半島から遼東半島、朝鮮半島、北部九州への水稲農耕の拡散過程の解明

・モンゴル高原における墓地発掘調査、古人骨炭素13安定同位体分析、筋付着部発達度分析、形質人類学的分析、ストロンチウム同位体比分析
  ⇒ 北アジアにおける初期農耕から牧畜社会への変遷過程の解明(食性、労働形態、人の移動様相の解明)


Copyright🄫2019Kazuo MIYAMOTO