『覚える! ドイツ語1000単語』(西川智之ほか著、同学社、2023年12月)を師走に大学で受け取りました。寄贈者は名古屋大学名誉教授の西川智之氏です。実は、当方、北大のドイツ語学文学研究室に配属されてまもない頃、西川さんからドイツ語の読み合わせをしてもらいました。すばらしい自主ゼミだったことを今でもよく覚えています。
そして、今回のご寄贈、とてもすばらしいドイツ語単語帳です。何がすばらしいのでしょうか。端的に言えば、1000語の選択がすばらしいのです。セルシートが付いており、単語の記憶に役立ちます。序文には「本書をマスターすれば基礎段階の語彙はほぼ習得できるでしょう」と書かれていました。600語、300語、200語の三部構成です。しかも単語の使用例が、初心者用に句として、そして中級者用に文として示されています。
本書の更なるすばらしさは、訳語のユニークさです。私はセルシートを使いながら、逆にこの訳語はどんなドイツ語だろうかと思いながら、この単語集を味わいました。
→「この自動販売機はつり銭を自分のものにしやがった。」
→「うちのちび君はまだ歩けないのよ。」
→「私たちのドイツ語の先生は授業中ほとんど日本語しか話しません。」
→「日本はまだロシアと平和条約を結んでいない。」
→「大地は雪に覆われている。ホワイトクリスマスになるよ!」
これらの訳文は実に人間味あふれる訳文です。とても道産子らしい例文だと言えましょう。西川さんはカフカの研究者、私は訳文とドイツ語原文を照らしあわせながら、なるほどと何度も頷きました。
西川さんも当方も同じ年に北海道を離れ、西日本に住み始めました。それぞれの経験はまったく異なるのですが、いくつかの訳文に道産子のリリシズムをなんだか感じます。ちょっと妙な言い方になりますが、私は単語帳というよりも、詩集を読んでいるような気になりました。(小黒)

