人文科学府 歴史空間専攻 広域文明史学 分野
イスラム文明史学 専修
専修科目 (単位数 1)
選択科目
対象学年:
対象学部等:
イスラム文化史特論 IIA
Cultural History of Islam (Specialized Lecture II)A
講義題目  ティムール朝の歴史と研究動向
京都外国語大学共通教育機構 准教授 杉山 雅樹
科目ナンバリングコード:
講義コード:
2024 前期
集中
伊都イーストゾーン 履修登録後、決定 教室
M/J科目 (日本語, ペルシャ語)
更新情報 : 2024/4/2 (14:23) 〔授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。〕
授業の概要 本講義は、ティムール朝(1370〜1507年)を採り上げ、この王朝がイランや中央アジアを中心とするイスラーム世界東部において果たした役割を政治・文化・宗教・社会など様々な観点から解説する。王朝の創始者であるティムールは、14世紀後半に中央アジア西部で政権を樹立した後、積極的な遠征を繰り返し、イラン、イラク、アフガニスタンといった広大な地域を支配下に治めることに成功した。しかし、ティムールの死後、王朝内部では後継者争いによってしばしば分裂状態が生じ、外部からは周辺の遊牧集団から侵攻を受けて支配領域は徐々に縮小し、最終的に成立から140年ほどで滅亡するに至る。
以上のように、ティムール朝は、創始者ティムールと一部の後継者による統治期を除くと政治的には不安定であったが、一方で国都の一つであったヘラートを中心にイスラーム文化が最盛期を迎えた時代にあたる。その文化的遺産は、王朝滅亡後もイランや周辺地域に新たに生まれた政権に継承されていくことになる。また、ティムール朝期には、モンゴル侵攻以降の宗教的変化がさらに深化し、マフディー運動が頻発した。このような様々な宗教的な変動が新たな政治思潮を生み出し、それらがやがてサファヴィー教団の台頭とサファヴィー朝の成立へとつながったとされる。特に、宗教的変化という後者の特徴は、最近アメリカの学界を中心に活発な研究が進められている。本講義は、こうした近年のティムール朝研究の動向についても紹介する。

(This lecture will focus on the Timurid dynasty (1370-1507) and explain its role in the eastern part of the Islamic world, centered on Iran and Central Asia, from various perspectives including politics, culture, religion, and society. Timur, the founder of the dynasty, established a government in western Central Asia in the late 14th century, and after conducting a series of active expeditions, he succeeded in assuming control of vast areas including Iran, Iraq, Afghanistan. However, after Timur's death, the dynasty was often divided due to the competitons for succession, and from the outside it was invaded by surrounding nomadic groups, and its territory gradually shrank, until it finally fell down about 140 years after its founding.
As mentioned above, the Timurid dynasty was politically unstable except for the period ruled by Timur and some of his successors. On the other hand, Islamic culture reached it's peak in the Timurid era especially around Herat, which was one of the capitals of this dynasty. Even after the fall of the dynasty, this cultural heritage would be inherited by the newly established regimes in Iran and surrounding areas. Also, during the Timurid period, religious changes after the Mongol invasion deepened, and the Mahdi movements frequently occurred. It is said that these various religious changes gave rise to new political ideas, which eventually led to the rise of the Safavi order and the establishment of the Safavid dynasty. In particular, the latter feature of religious changes have been actively researched recently, mainly in academic circles in USA. This lecture will also introduce recent trends in research on the Timurid dynasty.)
キーワード : イラン 歴史 ティムール朝 中央アジア モンゴル イスラーム スーフィズム 聖者崇敬 文化
履修条件 :
履修に必要な知識・能力 : 中東の歴史やイスラームに関する基礎的な知識を有していることが履修の条件となる。
特記事項 8月後半の開講を予定している。
遠隔/対面 Moodle 情報
対面授業
リアルタイム-オンライン授業
ハイブリッド授業(対面+オンライン)
オンデマンド型授業
課題提出型授業

教職 :
資格 :
到達目標
かなり優れている 優れている 及第である 一層の努力が必要
G_A-2 [修士:専修分野の知識と理解]
当該分野における研究史と方法論を説明できる。
当該分野における研究史と方法論を説明できる。 当該分野における研究史と方法論をある程度説明できる。 当該分野における研究史と方法論を理解している。 当該分野における研究史と方法論を一部理解している。
G_B-1-2b [修士:実証的な歴史像、歴史・地理認識の提示]
収集した史資料・データを文献史学・考古学・地理学的な方法論にもとづいて的確に分析し、実証的な歴史像および歴史・地域認識を提示することができる。
収集した史資料・データを文献史学・考古学・地理学的な方法論にもとづいて的確に分析し、実証的な歴史像および歴史・地域認識を提示することができる。 収集した史資料・データを文献史学・考古学・地理学的な方法論にもとづいて分析し、実証的な歴史像および歴史・地域認識をある程度提示することができる。 収集した史資料・データを文献史学・考古学・地理学的な方法論にもとづいて分析することができる。 収集した史資料・データを文献史学・考古学・地理学的な方法論にもとづいてある程度分析することができる。
G_B-2-1 [修士:知識・理解の深化と統合]
専門分野の内容に関する深い理解と、学問固有の思考方法を獲得し、高度に専門的な知識を有機的に総合できる。
専門分野の内容に関する深い理解と、学問固有の思考方法を獲得し、高度に専門的な知識を有機的に総合できる。 専門分野の内容に関する理解と、学問固有の思考方法を獲得し、専門的な知識を総合できる。 専門分野の内容に関する理解と、学問固有の思考方法を獲得することができる。 専門分野の内容に関する理解と、学問固有の思考方法をある程度獲得することができる。
九州大学文学部ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府人文基礎専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学人文科学府歴史空間論専攻ディプロマ・ポリシー   九州大学人文科学府言語・文学専攻ディプロマ・ポリシー
九州大学文学部哲学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部歴史学コース・カリキュラムマップ
九州大学文学部文学コース・カリキュラムマップ   九州大学文学部人間科学コース・カリキュラムマップ
授業方法
授業形態(項目) 授業形態(内容)
講義 授業担当教員による解説を主とした形態であり、時折学生との問答を通じて、関連の知識を深めていきます。
外国語演習
原典資料演習
実習/フィールド調査
Problem-Based Learning (問題発見・解決型学習)
学生のプレゼンテーション
Moodle の使用
学外実習
野外実習

テキスト : レジュメ(紙媒体)を配布した上で、スライド資料(PowerPoint)を使用しつつ授業を進めます。
参考書 : 毎回のレジュメに挙げておきます。
授業資料 :

授業計画 (授業計画は予定であり、学びの進捗に合わせて変更することがあります。)
進度・内容・行動目標等 講義 演習・その他 授業時間外学習
1 イントロダクション:授業ガイダンス、ティムール朝成立以前のイランと中央アジア
2 ティムール朝史概説1:ティムールの生涯
3 ティムール朝史概説2:シャー・ルフ治世
4 ティムール朝史概説3:スルターン・アブー・サイードの台頭から王朝滅亡まで
5 ティムール朝の国制と官僚
6 ヘラートにおける文化の発展
7 アリー裔に対する尊崇の普及
8 スーフィズム:ティムール朝期までの発展の歴史
9 ナクシュバンディーヤ1:成立までの経緯
10 ナクシュバンディーヤ2:ホージャ・アフラールと最盛期
11 聖者崇敬の広がり:聖墓とヘラート
12 マフディー運動の高まりとヌールバフシーヤ1:各運動の特徴とムハンマド・ヌールバフシュの生涯
13 マフディー運動の高まりとヌールバフシーヤ2:ムハンマド・ヌールバフシュのマフディー論とその後
14 知識人ネットワークと新たな君主像
15 ティムール朝の影響:サファヴィーヤからサファヴィー朝へ

成績評価
観点→
成績評価方法
G_A-2
[修士:専修分野の知識と理解]
G_B-1-2b
[修士:実証的な歴史像、歴史・地理認識の提示]
G_B-2-1
[修士:知識・理解の深化と統合]
備考(欠格条件、割合等)
レポート 70%。詳細は授業内で指示する。
授業への貢献度 30%。授業内での質疑応答により参加度を確認する。

GPA評価
A B C D F
授業を通じて、総じて「かなり優れている」に相当する活動を行った。 授業を通じて、概ね「優れている」を超える活動を行った。 授業を通じて、「及第する」に相当する活動を行った。 授業を通じて、総じて「及第する」には達しないものの、それに近い活動を行った。 授業を通じて、「一層の努力が必要」の活動にとどまった。

成績評価基準に関わる補足事項 : 5回欠席した時点で単位取得は不可とする。授業開始後10分以降に入室した場合は遅刻扱いとなるが、30分を過ぎた時点で欠席扱いとなる。なお、遅刻は2回で欠席1回とする。やむを得ない事由により欠席(または遅刻)する場合は、必ず申し出て証拠となる公的な書類を提出すること。
学習相談 学習相談 :

授業以外での学習に当たって :

合理的配慮について :
障害(難病・慢性疾患含む)があり、通常の方法による授業を受けることが困難な場合には、教育目的の本質的な変更など過重な負担を伴わない限り、合理的配慮を受けることができます。合理的配慮とは、教授・学習法の変更、成績評価の方法の変更、授業情報の保障(資料の字幕化、個別の資料配布、録音・撮影の許可)、受講環境の調整などを指します。実際の方法については担当教員と建設的対話を行なった上で決定されます。
<相談窓口> キャンパスライフ・健康支援センター インクルージョン支援推進室(伊都地区センター1号館1階)
(電話:092-802-5859 E-mail:inclusion@chc.kyushu-u.ac.jp)