趣旨

日本文化人類学会課題研究懇談会「応答の人類学」趣旨

本研究懇談会では、「文化人類学が社会へのいかなる応答性をもちうるか/いかに応答的でありうるか」という問いに答えようとする。

災害・開発・医療・福祉といった、緊急対応を迫られる現場から長期的な指針の提示を求められる現場まで、複数の場で模索されてきた協働的な取り組み事例の検討を中心に、人類学の社会的な意義を論じる。これは若手研究者における新たな職域の開拓にもつながると考える。

応用人類学を典型とする、人類学の応用性、実践性に関する従来の議論を含み込みつつも、「人類学の知を他領域に応用する」という論点に留まるのではなく、むしろ、フィールドワークと民族誌という人類学の営みそれ自体を、フィールドの人たちを含む同時代の諸関係の中に置き直す具体的な方法について検討したい。

成果として、『文化人類学の臨床事典』の出版を目指す。(代表:亀井伸孝)