高橋沙奈美 (たかはし さなみ)

大学院人間環境学研究院(伊都地区)・講師

takahashi,sanami.003 [at] m.kyushu-u.ac.jp

2011年 北海道大学大学院博士課程単位取得退学。博士(学術)

研究テーマ:
ロシア・ウクライナの宗教と文化、宗教文化財の保護と巡礼ツーリズム

著書:
『ソヴィエト・ロシアの聖なる景観――社会主義体制下の宗教文化財、ツーリズム、ナショナリズム』(2018年、北海道大学出版会)、『アジアの公共宗教——ポスト社会主義国家の政教関係』(共著、2020年、北海道大学出版会)ほか。

担当科目:
A 学部科目
1.ロシア史(1-2年生向き、基幹教育)

九州大学のロシア・ソ連史研究の専門家によるオムニバス授業です。科学史、思想史、個人史(エゴ・ドキュメント)、宗教文化等、各教員の専門家ら多面的にソ連・ロシアの歴史を学ぶことができる授業です。

2.比較宗教学講義(2-3年生向き)

現代社会が宗教と関わる様々な局面について考える授業です。政教分離、カルトとスピリチュアリティ、ジェンダー、ツーリズム、ナショナリズム、トランス・ナショナリズムなど、社会問題から宗教について再考します。

3.文化人類学演習(2-3年生向き)

比較宗教学研究室の研究方法指導の授業です。隔年で、ライフヒストリー調査とテーマ設定型集団調査を行います。2021年度は、コロナ禍でフィールドワークが難しかったので、「九州大学」をテーマに大学構成員に対する調査を展開しました。予備調査から、フィールドワーク、調査結果をまとめた研究報告を作成するまでの流れを学びます。

4.比較宗教学演習(2-4年生向き)

比較宗教学研究室の卒業論文指導の授業です。飯嶋先生と共同で行い、学生は1タームに1度以上、研究発表を担当します。

B 大学院教育(人間環境学府)
1. コミュニティ構造論・コミュニティ行動論

社会学・文化人類学の基礎文献を精読しています。先行研究の要点をつかみ、批判的に考察する力を養うことを目指します。


2. 人間共生論高級

修士以上の論文指導。飯嶋先生と共同で担当しています。

学び始めようとする人への一言:

私は文化人類学の専門的な教育を受けたことがありません。しかし、自分が研究の世界に足を踏み入れた時、まさに「足」から入ったのであって、頭は後からついてきました(実はついてきていないかもしれません)。言葉も十分にできないうちに多くの人の助けを借りて寒風吹きすさぶ嵐の白海を渡ったり、インフォーマントから「おなかが空いたでしょう」とランチを分けていただいたり、おなかを壊してインフォーマントの家で寝込んだり…と、私の研究はいつもインフォーマントに教えられ、支えられてきました。私にとって研究対象は分析し、議論して明らかにすべき対象というよりも、実は共に生き、喜怒哀楽を分かち合うような存在です。しかし、薄情なもので、共にする時間はほんの一瞬で、数年の後、私の研究は別のテーマへと移っていきます。限られた時間を共に生きようと踏み込む、厚かましく図々しくも、社会的人間にとって不可避の他者の生に分け入ろうとする営みを文化人類学は教えてくれるはずです。