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2023年9月22日14:30~17:30 九州大学人社系協働研究・教育コモンズ企画・九州大学法文学部創立100周年記念事業プレ企画 ブックラウンチ『都市で故郷を編む』を囲んで―沖縄・シマの近現代と社会心理学的フィールドワーク

 ここ数年、沖縄の本部半島先端にある備瀬というシマ(ムラ)をめぐって、三十余年のフィールドワークの成果が立て続けに刊行された(『都市で故郷を編む―沖縄・シマからの移動と回帰』,2023年,東京大学出版会;『根の場所をまもる―沖縄・備瀬ムラの神人たちと伝統行事の継承』,2020年,新曜社)。この対をなす著作で著者は、備瀬を基点として1920年代から現在までの約100年間を駆け抜ける。日本各地の紡績工場へ働きに出たシマの女性たちの体験をなぞり、労働と稼ぎの場を求めて国の外へと渡った人たちの跡を追う。大阪ではメッキ工場の経験を共にしてきた同郷人たちを訪ねて「独立自営」の模索を知り、那覇では支え合い・競い合いつつ生活を共にした女性たちの衣料品市場を歩く。さらに、都市で老年期を迎えた同郷人が語り合い、故郷での子どもの頃の暮らしに思いをはせる場に身を置く。そして、大きく変容する故郷・備瀬において手入れされ続ける共用地(コモンズ)、神々とつながる根の場所での伝統行事の継承の場面に立ち会う。こうして著者は、実際にはもう見ることのできなくなった風景やかつての出来事を見ようとして、ご縁のできた一人ひとりを訪ね歩き、その人生に寄り添い、語りに耳を傾け続けてきた。この度、編まれたふたつの織物は、近代化の過程そのものを辿り、社会によって移動と稼ぎの可能性に方向付けられた人びとが、共同体を何度も編みなおしながら生きる様を描き出す。それは、社会心理学における「フィールドワークの知」の大きな稔りになった。

 本企画では、著者である石井宏典氏と共にこれら2冊の本を囲む場を設けたい。
そしてその場での語り合いを通じ、近現代という歴史的限界のもとで生きている私たちの場所を確かめる試みをしてみたい。
 皆様の御参加お待ちしております。

日時: 2023年 9月 22日(金)14:30~17:30

寄り合う人:
石井宏典(茨城大学人文社会科学部,社会心理学)
1965年茨城県土浦市生まれ。東北大学文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程修了、博士(文学)。現在、茨城大学人文社会科学部教授。著書に『根の場所をまもるー沖縄・備瀬ムラの神人たちと伝統行事の継承』新曜社2020年)、『都市で故郷を編む―沖縄・シマからの移動と回帰』東京大学出版会2023年ほか。一連の建久の基点となった論文「職業的社会化家庭における「故郷」の機能ー生活史法による沖縄本島ー周ら出身者の事例研究」(1993年)にて第1回日本社会心理学会賞。

中島琢磨(九州大学大学院法学研究院,日本政治外交史)
南 博文(筑紫女学園大学,環境心理学)

同行:
後藤健介(東京大学出版会)
木下寛子(九州大学人社系協働研究・教育コモンズ)

場所:九州大学附属中央図書館4階スカイきゅうとコモンズ
   オンライン会議形式(Zoom)併用

申込方法:下記サイトへアクセスして、事前登録をしてください。
   http://commons.kyushu-u.ac.jp/collaborative/event_20.html

お問合せ先:九州大学 人社系協働研究・教育コモンズ
Email: enquiry-commons★cmns.kyushu-u.ac.jp(★を@に変更してください)

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