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西洋史学研究室

時間の厚みを通してヨーロッパを探究する

過去について考えることは、無限の可能性を秘めた「知の冒険」です。異文化や他者についての考察は、自身の省察と変容へと導かれる実践的行為でもあるのです。

西洋史学研究室は、九州帝国大学法文学部の発足時に設置された数少ない講座の一つです。明治以降の日本では、西洋文明を「模倣すべき」対象としてきたからですが、その後、日本の「西洋史学」は、世界でもまれな独自な変容を遂げ続けました。現在では、異文化としての欧米文明の実証研究を、世界中の同僚たちとともに押し進めるとともに、歴史学の批判的な検討、社会の中での歴史学の意義(公共性)などの諸問題を、理論的、実践的に問う「知の前衛」にも位置しています。

「九大西洋史」は、伝統的に、最新の問題関心や方法論を共有しながら、欧米と同じレヴェルの実証研究に早期から取り組んできました。また、欧米に多くの留学生を送り出すとともに、海外の学界、研究者との交流を続けてきた特異な研究室です。現在でも、学内外の多様な研究者たちとともに、共同研究や比較史などの試みを実践しながら、学界や社会に独自な貢献を果たしています。

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教員

岡崎 敦 (OKAZAKI Atsushi) 西洋史学講座/教授

  • 専門
    フランス中世史、文書学
  • 専門分野
    西欧における大学や知識人の形成についての関心から、司教座教会周辺にたむろする多様な教会人の活動、彼らの存在を制度的に保障する教会制度等の研究を進めてきた。同時に、実証研究を根拠づける資料認識について、文書学やアーカイブズ学などの観点から再検討してきた。
  • 主要業績
    Pratiques éprouvées et rénovations de la diplomatique (Orient / Occident) : enquêtes et réflexions, in Annuaire de l’Ecole Pratique des Hautes Etudes, section des sciences historiques et philologiques. Résumés des conférences et travaux, 147e année, 2014-2015, Paris, 2016
    La juridiction gracieuse en voie de formation et la diplomatique épiscopale: le cas parisien (XIIe – début du XIIIe siècle), in Journal of Western Medieval Histor y (SŎYANG CHUNGSESA YŎNGU), 38, 2016

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今井 宏昌 (IMAI Hiromasa) 西洋史学講座/准教授

  • 専門
    ドイツ現代史
  • 専門分野
    物理的・肉体的な暴力の経験が、時代状況とのかかわりの中でどのように変容し、また逆にその当事者や社会をどのように規定していったのかという問題関心から、第一次世界大戦後ドイツにおけるパラミリタリ(準軍隊)組織・義勇軍とそのメンバーのバイオグラフィを、経験史の観点から分析している。
    またこれと並行し、第一次世界大戦中に福岡県久留米市に設立されたドイツ兵俘虜収容所の世界を、「下からのグローバル・ヒストリー」の視角から再考している。
  • 主要業績
    『暴力の経験史 ―第一次世界大戦後ドイツの義勇軍経験 1918〜1923―』(法律文化社、2016年)
    『第一次世界大戦と民間人 ―「武器を持たない兵士」の出現と戦後社会への影響―』(共著、錦正社、2022年)
    アンドレアス・ヴィルシング/ベルトルト・コーラー/ウルリヒ・ヴィルヘルム編『ナチズムは再来するのか? ―民主主義をめぐるヴァイマル共和国の教訓―』(共訳、慶應義塾大学出版会、2019年)
    トーマス・キューネ/ベンヤミン・ツィーマン編『軍事史とは何か』(共訳、原書房、2017年)
    ジェフリー・ハーフ『ナチのプロパガンダとアラブ世界』(共訳、岩波書店、2013年)

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