社会学

社会学の対象は、社会問題、規範、権力、歴史、コミュニケーション、アイデンティティ、ジェンダー、社会運動など、多様な領域を包括しているが、要するにこの世界社会の中で中心化されてきた諸社会(いわゆる近代社会)を対象として、その社会の成り立ちを研究してきた。

 

当初、この近代社会は、理性的・科学的・客観的な方法により、誰もが普遍的な真理に到達し得るものと想定されてきた。ところが、近年では、そ うした想定は、既に、いや、常に、近代社会がそれ自身ために身体的・実践的・主観的な権力作用で産出してきた「大きな物語」であって、そうした意味での近 代社会は終わったのではないか、という疑念を突きつけられてきた。

 

こうして、社会学では現在、研究主体となる研究者が、研究対象となる社会から、一方的に真理を導き出すというものの見方は破綻し、研究者は研 究対象となる社会に埋め込まれ、また、研究成果が研究対象となる社会に利用されることで、絶えずその姿を変貌させてゆくというものの見方に接近してきた。 ならばそこでどのような社会調査を行い、誰に対して、いかなる社会像を呈示することで、どのような社会を構築しようというのか。この問いが共生社会システ ム論に通じる扉の一つとなる。     (飯嶋秀治)


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