来歴と紹介

我々の研究室の母体は、九州大学文学部・人間科学科・比較宗教学研究室です。もともとの文学部の上には大学院人文科学府があるのですが、心理学社会学宗教学の三研究室が1998年にそこから分離して、別の大学院に属するかたちをとりました。それが九州大学大学院人間環境学府(以下「人環」)です。人環には工学部と教育学部とわれわれ文学部の一部が集合し、五つの専攻をつくっています。このHPの左側にある「人間共生システム」というのはその五つの専攻うちのひとつです。もっとこまかく云えば、「人間共生システム専攻」の「共生社会学コース」です。さらにこのコースは、ほぼ二すじに分かれます。ひとつは社会学。もうひとつは文化人類学+比較宗教学+民俗学です。文学部の旧来の云い方では、前者に社会学(鈴木譲)と地域福祉社会学(安立清史)、地域福祉社会学(高野良和)、家族社会学(山下亜紀子)が、後者に文化人類学(浜本満)と共生社会学(飯嶋秀治)の計六五名のスタッフがいます。

あなたが今開いているHPは後者の二名&カンパニーの研究室です。1998年創設時は竹沢尚一郎+関の2名でしたが、2002年に竹沢が国立民族学博物館に転出し、2005年秋に浜本が着任、ついで2007年に飯嶋が就任し、2014年に関が退職して現在の体制になっています。共生社会システム論をふくめて人環の名前は、ほとんど竹沢の命名によるので、本来この文章も竹沢筆のはずでした。

続いて【教官欄】をご覧ください。平成21年度は、大学院に2名の先生(辻信一、香月洋一郎)、学部に2名の先生方(長谷千代子、佐藤壮広)の講義と演習をお願いして以降、平成28年度まで大学院に2名、学部に2名の先生方を毎年お招きして参りました。  【大学院生一覧】をご覧ください。大学院には現在修士課程4名、博士課程1名が在籍しています。それぞれの仕事の内容や課題をご覧になればお分かりでしょうが、地域は南米・オセアニア・東南アジア・南アジア・東アジア・日本に広がっています。主題もまた、儀礼・シャマニズム・民俗・観光・映像・性・貧困・福祉・開発・植民地・職人・ホームレスと多岐にわたります。けれど、その焦点が、グローバルとローカル、構造と主体の力学のなかで現代世界に生きる知恵と技法を学ぶところにあることは同じです。なお【修了者一覧】には、ここ十年間の大学院改編後のメンバーをあげました。HPに名前と課題だけ載っている学部生諸君【学部生一覧】は、2回生10名、3回生10名、4回生11名、計31名の在籍です。
学部の研究室名は比較宗教学ですが、講義名も4割は人類学系にし、模索中です。たんに宗教学と人類学をあわせて宗教人類学という安易さをとりません。神話と儀礼、現代社会の怪異、公害あるいは環境問題、マチとムラの再生、新しい社会運動、ジェンダー&セクシュアリティといった卒論の主題群が、相互にリンクして深く文脈化できるような場所を探しています。 外部からはわかりにくい組織になりましたが、これも冒頭にあげた準備の時代の特徴です。理由なく新奇なことばを弄しているのでなく、そこに理念となかみを盛るよう努めること、おのずと生まれるものを待ちうけることがわれわれの楽しみであり夢(vison)なのです。


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