「文化人類学」10選

unnan_children(中国雲南省徳宏タイ族の子供たち)

まず、民族誌家的な観察眼と洞察力が表現されていて、タイプの違う民族誌を古い順に3冊。

 マリノフスキー 1980(1922) 「西太平洋の遠洋航海者」(『世界の名著71』中央公論社)
エヴァンス=プリチャード 1978(1940)『ヌアー族』 岩波書店
土屋健治 1991 『カルティニの風景』 めこん選書

次いで理知的な思索の成果を古い順に3冊。
  レヴィ=ストロース 1997(1958)『構造人類学 』みすず書房 
 スペルベル 1984(1982) 『人類学とはなにか』 紀伊国屋書店
 アンダーソン 1997(1983) 『増補 想像の共同体』 NTT出版

この他、いろんな基本文献を読んでみたあと、頭の中を整理する手がかりとして2冊。
 綾部恒雄編 1995(1984) 『文化人類学15の理論』 中公新書
 リーチ 1987(1982) 『社会人類学案内』 岩波書店

最後に最近の文化人類学の課題や今後の方向性についての示唆に富む論文集として2冊。
 田辺繁治 1989 『人類学的認識の冒険――イデオロギーとプラクティス』 同文館
 杉島敬志 2001 『人類学的実践の再構築』 世界思想社

※( )内は原作の出版年です。

考えるより先に体を動かすタイプの人は第一グループであげたような民族誌的作品から、じっくり考えてから行動するタイプの人は第二グループであげたような思索の書からいろいろ読んでみて、頭の中がこんがらがってきたら第3グループのような入門書のたぐいを読むといいと思います。そのサイクルを確立しながら第4グループであげたような比較的新しい成果を自分なりに咀嚼していくようにすれば、おのずと「文化人類学入門」が果たせるでしょう。(長谷千代子


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